サービス開始直後の『ポケモンGO』ユーザー像に迫る

さる7月22日(金)、日本でも『ポケモンGO』がサービスインしました。米国をはじめ、日本よりも海外で先行してサービスを開始していた『ポケモンGO』は、サービスが始まるや否や大ブームを巻き起こし世界各国で大ヒットを記録、国内でのサービスインを前に既にその過熱ぶりが様々なマスメディアを通じて伝えられる中、いつ国内でのサービスが開始されるのかと話題になるさなかのスタートでした。

 

国内でもサービスが開始されると同時に、街中が『ポケモンGO』をプレイする人たちであふれかえりました。『ポケモンGO』の場合、普通のスマホゲームと違い、外でプレイしないといけないというそのゲームの性質上非常に目立つということもあるのですが、『ポケモンGO』の登場は文字通り、一夜にして「街の景色を一変」させました。

 

実は、このZoomAppでもサービス前から『ポケモンGO』に注目し調査を開始していました。今回はその中からいくつかのデータをご紹介しながら、そのユーザーの実像に迫ってみたいと思います。

 

ZoomAppが『ポケモンGO』の調査を開始したのは7/4から(調査対象期間:6/27-7/3)です。米国、オーストラリア、ニュージーランドで『ポケモンGO』の配信が開始されたのが7/6(水)ですから、この時点では国内はもちろん、海外でもまだサービスが始まっていません。ちなみに、今日現在(8/1)での世界各国での『ポケモンGO』のサービス開始日をまとめておきます。

 

7/6(水) アメリカ合衆国、オーストラリア、ニュージーランド

7/13(水) ドイツ

7/14(木) 英国

7/15(金) イタリア、スペイン、ポルトガル

7/16(土) フランス以外のヨーロッパ25ヶ国

7/17(日) カナダ

7/22(金) 日本

7/24(日) フランス

7/25(月) 香港

 

まずご紹介するのは、『ポケモンGO』の認知状況です。[図1]は7/3以降の4週間の『ポケモンGO』に対する調査対象者全体の認知度推移をまとめたものです。ちなみにZoomAppの調査対象者は「15歳から59歳までのスマートデバイスを所有している男女2,700名」です。したがって、14歳以下の若年層や60歳以上の方々、またスマートデバイスを持っていない人のデータは含まれておりませんのでご注意下さい。

 

[図1]を見て分かる通り、『ポケモンGO』の認知度は7/3の時点ではわずか3.6%でした。7/6の米国でのサービス開始後、海外マーケットでの過熱ぶりはWebメディアをはじめ既に一部のメディアでは伝えられていたのですが、7/10の時点では7.4%にわずかに上昇したのみで、まだこの時は国内のスマホユーザーはそれほど大きく反応していません。それが跳ね上がったのは調査開始後3週目の7/17です。『ポケモンGO』はその後もさらに認知度を上げ、最新の7/24時点では66.3%まで上昇しています。これはスマートデバイス所有者のうち3人に2人が知っているという極めて高い数値です。

 

ZoomAppコラム_160801_図1

 

これがどれくらい高いかが分かるように、それ以外の主要アプリの認知度と比較したデータもご紹介しておきます。(図2)

この66.3%というのは、大ヒットを記録し今も多くのユーザーがプレイしている『LINE: ディズニーツムツム』や『パズル&ドラゴンズ』『モンスターストライク』を抜き、No.1の認知度です。何年も前から国内スマホゲームマーケットをリードし続けているこれらのトップセラーアプリを、『ポケモンGO』はわずか数週間で抜き去ったのです。しかも『ポケモンGO』の場合はまだテレビCMを展開していないのですから、さらに驚異的です。

 

ZoomAppコラム_160801_図2

 

 

[図3-1][図3-2]は、『ポケモンGO』の認知度推移を性別・年代別に分類して集計したものです。性別(図3-1)では、最初は男性の認知度が先行していたのが、認知度上昇とともに女性の認知度も上昇。7/17時点で男女の認知度の差がほぼなくなり、7/24ではついに女性の認知度が男性を上回っていることが分かります。年代別(図3-2)では、基本的に若年層ほど『ポケモンGO』の認知度が高いことが分かります。ただ、よく見ると[40代]の認知度上昇が他の年代よりもやや急激であることに気づきます。この40代は、最も『ポケモンGO』の認知度が高い10代ユーザーの親世代にあたる人が多いこともその理由のひとつなのかも知れません。

 

ZoomAppコラム_160801_図3-1

 

ZoomAppコラム_160801_図3-2

 

先ほど『ポケモンGO』はまだテレビCMを展開していないと書きましたが、それではどのようにして『ポケモンGO』はその認知度を大きく上昇させたのでしょうか。 [図4]は『ポケモンGO』を知ったきっかけ(コンタクトポイント)をまとめたグラフです。

ひと目見て分かる通り、調査3週目(7/17)以降の「テレビ番組」の急上昇ぶりが目を引きます。これは『ポケモンGO』の認知度上昇曲線とほぼ合致しており、『ポケモンGO』の認知度上昇が、主にニュースやバラエティ番組などの「テレビ番組」での報道によるものであることが分かります。それに対して、「家族や友人・知人の話」いわゆるクチコミは「テレビ番組」よりも少し遅れて上昇しています。また、「ブログ、SNS」や「ゲーム情報サイト、アプリ」「コミュニティや掲示板」などのいわゆるインターネットメディアでは、今のところそれほど大きなインタラクションが発生していないことが分かります。これが、今後どのように変化していくのかにも注目していきたいと思います。

 

ZoomAppコラム_160801_図4

 

 

ここまでは『ポケモンGO』の認知者に関するデータでしたが、最後に実際に『ポケモンGO』のプレイヤーデータをご紹介いたします。(図5) これは7/25時点での調査データですので、『ポケモンGO』の国内サービス開始直後、つまり『ポケモンGO』をいち早くプレイし始めたユーザーの分布状況となります。

 

 

ZoomAppコラム_160801_図5

 

男女比は53.4%:46.6%でやや男性寄り、年齢分布は男女で大きな差が見られます。女性はかなり若年傾向が強いですが、これはほぼイメージ通りなのではないでしょうか。一方、男性に関しては特にそのようなことはなく、各世代にわたり一定規模のプレイヤーが分布しています。最も多いのは[25-29歳]ですが、50代などにも多くのプレイヤーがいます。このあたりはかなり意外な印象を受けます。これは想像でしかないのですが、先ほど書いた通り今回の『ポケモンGO』の認知度上昇には「テレビ番組」での露出が大きく影響しているようですから、それがそういった報道番組をよく見ているであろう男性サラリーマンの『ポケモンGO』プレイを促しているのかも知れません。今のような状況がサービス開始直後ならではの現象なのか、それとも時間経過とともにこういった状況に変化が見られるのかどうかは、もう少し追いかけてみないと分かりません。ZoomAppでは引き続き『ポケモンGO』を追いかけていきたいと思います。このコラムでも機会があればご紹介いたします。

 

(文:三宅 淳)